はぜのメモ帳

ニッチな地域スポーツの話とか思う事とか。

Vol.17 金で買えないと思っていたモノを金で買う時代

2016年4月30日、産経新聞にこんな記事が出た。

www.sankei.com

ものすごく端的に言ってしまえばスポーツ庁を中心に大学スポーツ運営・収益を一元化する」計画だ。大学スポーツをいかにしてビジネス化するかについて書かれてある。

地域スポーツに関わる身として気になったのは、この文章。

大学スポーツ施設を地域へ開放し、地方のスポーツ産業活性化につなげる。

つまり、地域スポーツのビジネス化を政府は進めたいと考えている…と読めるし、そういうことだろう。

ビジネス化する地域スポーツに思うこと

総合型地域スポーツクラブやスポーツ少年団といった地域スポーツは、指導者・保護者をはじめ本当に多くのボランティアに支えられている。それは、当ブログVol.13でも述べた通りだ。

hazesan.hatenablog.com

「少しでも多くの地域住民が楽しめるように、安価な参加費で」

そんな熱意のあるボランティアがいるからこそ、民間企業では考えられない破格の金額設定(100~500円/回など)が可能になる。

はぜもスポ少時代、多くのボランティアに支えられてきた。
指導者は有償ボランティア。月謝は3,000円で週4回練習(1回2時間ほど)+大会参加。キャンプやクリスマス会、お別れ会などレクリエーションも豊富だった。夏場の練習では、保護者がアイスを差し入れしてくれた。汗だくになりながら友達と食べたアイスの美味しさは今でも忘れられない。

金はないけれど、地域のスポーツを愛する大人が知恵と時間を出し合う。それが地域スポーツの在り方なんだと思ってきた。

現職に就き、体育館の指定管理者となり行政から複数の委託事業を受け、年間予算が数億規模で若者を雇用している総合型クラブがあることを知った時は、すごい衝撃だった。

「地域スポーツが仕事になるんだ、それで食べていけるんだ」…想像したこともなかった。まさか現職で『指定管理者制度』『特定非営利活動推進法』『業務委託と雇用契約の違い』などを勉強するハメになるとは思ってなかった。

凄い時代なんだなぁと感動する一方、心のどこかで地域スポーツにも金が絡む時代なんだと寂しく感じる自分がいる。

金で買えないと思っていたモノを金で買う時代

昨年10月、県内の総合型クラブが、お遍路さんのお接待をするというので見に行った。朝4時に起きて公民館で焼いた手作りパンとミカン、冷却シートを袋に詰めたもの。「お接待お疲れさまです」と声を掛ければ「違う違う!私たちは、お接待させていただいてるんよ(笑)」と言われた。

少子高齢化でどの地域スポーツ団体でも『跡継ぎ不足』が深刻だ。ビジネス化して若者の雇用先となれば、跡継ぎ問題は解消できる。頭では理解できているのにどこかで理解したくない自分がいる。

地域スポーツの世界には、自分たちが身銭を切っても誰かのために尽くしたいという人が多い。金に左右されない人の思いに触れることができる。はぜは多分それを感じたくて、この世界に飛び込んだ。だからこそ、ビジネス化する地域スポーツに複雑な感情を覚えているのだと思う。

ibaya.hatenablog.com

先日、このような記事を見つけた。坂爪圭吾さんのブログ。

「受ける側ではなく与える側が金を払う」

会ったこともない方のたった1つの記事に、自分の考えを肯定してもらった気持ちがした。多分、はぜが今の仕事を通じて感じたいのは、きっとこの世界なんだ。