はぜのメモ帳

ニッチな地域スポーツの話とか思う事とか。

Vol.24 “連携・協働”から、“再編”の時代へ

「スポーツ推進委員と総合型地域スポーツクラブのより良い連携を模索する」
先日参加した研修で行ったグループワークのテーマだ。

総合型クラブに関する仕事をしていると、よく“連携・協働”といった単語を目にする。

はぜは、“連携・協働”には2種類あると思っている。

①異なるAとBが結びつくことでCになる発展的連携(A+B=C)
②異なるAとBが互いの不足個所を補う穴埋め的連携(A+B=AB)

①と②どちらも大事だが、今の地域スポーツに必要なのは間違いなく①だ。というより、まず“連携・協働”することで達成したい目的は何かを明確にしなければならない。

自らを守るので精一杯なスポーツ団体

今回のテーマだと、推進委員と総合型クラブが連携することで真に達成したい目的は何か。「生涯スポーツ社会(子どもからお年寄りになるまで一生涯スポーツを楽しめる環境)の実現」ではないだろうか。

であるなら、推進委員と総合型クラブの連携だけ考えても意味がない。体育協会、スポーツ少年団…団体だけでなくスポーツ指導者も。その地域のスポーツに関わるあらゆる人を、まずは同じテーブルに着けなければならない。

 総合型クラブは、会員確保・施設管理・人材雇用…
 推進委員や体育協会等の古株は、組織の高齢化・世代交代…
 スポ少は、少子化による団員の確保…

文字に起こすとよく分かるが、それぞれが①の“連携・協働”をすれば、すぐにでも解決できそうな課題ばかりだ。

なのに、それぞれが自分の木が倒れてしまわないよう維持するのに精いっぱいで、廃れていく森にまで目を向ける余裕がない。支えようと手を差し伸べてもらっても、自分の木を切られてしまうのではないかと疑心暗鬼になってしまう

ちなみに、神奈川県横浜市のサッカークラブチームでも、似たような話があった。

【少年サッカー移籍問題】大人の都合で理不尽なローカルルールが横行。サッカーをする場を奪われる子どもたち(1) | FootballEDGE

自分のクラブチームの勝利や団体維持しか考えていないばかりに、サッカー全体のマイナスイメージに繋がる行動をとってしまう。

“連携・協働”から、“再編”の時代へ

「あの木が倒れそうだ。でも幹が太い隣の木が支えてあげれば維持できる」
「あの木は太いけど実がならない。でも隣の木は細いながら美味しそうな実を付けている」
「あの木には夏に青い花を咲かす。一方隣の木は冬に赤い花を咲かす」

それぞれの木が持つ魅力や森の全体の様子を知るためには、森を上空から見る風来坊が必要不可欠だ。今の地域スポーツに絶対的に必要で、でも絶対的に足りていないのが、この存在である。

少子高齢化で人手も足りない&金もない中で、自らの組織の事だけ考える時代は、もう終わりに近づいている。人望のある風来坊が1人いれば、必ずそれに気づかせてくれる。

しかし、“連携・協働”と言ってしまえば、両者が自身のメリットを中心に考えてしまう。それではA+B=ABのままだ。AとB、それぞれが自身の権益を全て捨ててでも、Cという大義に向かって共に歩んでいかなければならない。

そういう意味で、これからは“再編”の時代だと思う。総合型クラブ全盛期…H16年頃のパンフレットを見ると、必ずと言っていいほど「まずは地域スポーツ関係者が同じテーブルに着こう!」と書いてある。果たして、それを実現でき、尚且つ共通の目的に向かって歩むことができた地域は全国にどれほどあるのだろう。いかにして風来坊と出会うか。いかにして大義を見失わずにいられるか。
これが、地域スポーツの未来を左右する気がしてならない。