Vol.3 香南ししまるスポーツクラブ「全国シニアパドルテニス大会」
「“地域スポーツ”といえば、何ですか?」
こう聞かれたら何を思い浮かべるだろうか。
スポーツ少年団、地区体育協会、自治会(町内会)体育部、ママさんバレーボール、早朝ソフトボール、公園でシニア世代がやっているグラウンドゴルフ… 考え付くだけでも結構いろいろある。
その中で、“総合型地域スポーツクラブ”だと答えた人は100人に1人いるかいないかだと思う。
単一種目/世代の“チーム”→多種目/世代の“クラブ”へ
総合型地域スポーツクラブは、長いので“総合型クラブ”と呼ばれている。
文部科学省が2000年に策定した「スポーツ振興基本計画(2001~2010年)」では、
2.地域におけるスポーツ環境の整備充実方策
生涯スポーツ社会の実現のため、できるかぎり早期に、成人の週1回以上のスポーツ実施率が50%となることを目指す。
A.政策目標達成のため必要不可欠である施策
1)2010年までに、全国の各市区町村において少なくともひとつは総合型地域スポーツクラブを育成。(将来的には中学校区程度の地域に定着)
スポーツ振興基本計画は、日本のスポーツの今後10年をどのように進めていくかについて書かれている。その計画内で大々的に取り上げられたことで、日本全国が総合型クラブの育成に躍起になった。
中でも兵庫県は圧倒的で、当時の県知事のもと、約108億円を投じて県内全827小学校区に総合型クラブの設置…事業【スポーツクラブひょうご21】に乗り出した。全国47都道府県でここまで県主導で大々的に動いたのは兵庫県だけ。
この事業、とても面白いのでまた別記事で話したい。
香川県でも、2002年頃から本格的に、総合型クラブ育成に乗り出した。
その種が芽ぶき時間をかけて花が咲き…
活動の大小はあれど、2016年4月時点で26の総合型クラブが活動している。
高松市が誇る、香南ししまるスポーツクラブ
香川県には26の総合型クラブがあると書いたが、うち9クラブは県庁所在地・高松市に集中している。ちなみに高松市の人口は約42万人で県人口の約43%を占める(2016年3月時点)
市街地から高松空港へ向かうと“香南町”という地域があり、そこに総合型クラブ・香南ししまるスポーツクラブがある。
ブログを読めば一目瞭然だが、多種多様な活動をしている。それを全て、地域のおっちゃん・おばちゃんがボランティアで行っているというから本当に驚く。
2016年4月3日(日)、上クラブが主催する「全国シニアパドルテニス大会」に行ってきた。
“パドルテニス”とは、要約するとこのようなスポーツ。
・米ミシガン州で100年以上前に誕生(テニスクラブに親と一緒に来た子どものために、テニスコートを二等分して遊ばせたのが起源)
・コートは、バドミントン(ダブルス)の広さと同じでOK
→香川町総合体育館メインコートだと6面とれる
・“パドル”と呼ばれるラケットを使用
面白いのは、やはり“パドル”ラケット。
【パドルテニス ラケット】で画像検索するといろいろ穴の開いた板が出てくる。
これでテニスボールを打ち合うのだが…
板なので力の加減が難しい!!!
大きくなった卓球ラケットという感じ。
打つ瞬間に手首を“クッ”と返さないとすぐアウトに。
打ったときには“パコン!”ととても軽快ないい音がします。自分であの音が出せるとかなり爽快!「打った後の心地よさが好きで止められない」という人もたくさんいた。
今回はシニアの大会だったので、男性60歳以上/女性55歳以上という下限があった。…が上限はない。78歳や81歳という方、夫婦で出ている方や、60歳まで全く運動経験がなかったのにパドルテニスに出会って10年以上続けているという女性。
しかも“全国”大会なので、東京や千葉、岐阜、滋賀、福岡と全国から約20人が香川県にやってきていた。
パドルテニスという同じ種目をやっていなければ生涯出会うことはなかっただろう参加者が、プレーをしてプレーを見て同じ空間で笑顔を共にしている。
スポーツの魅力ってこういうことなんだろうなぁと、シニア世代に元気をもらった1日だった。